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2024 4月 / Issue 150

九一庵食品様

「ごまどうふ」ギフトパッケージ


出島を通じてもたらされた南蛮渡来の砂糖が、長崎で新たな食材と出会って生まれた「甘い」ごまどうふ。長崎カステラに並ぶ「地域土産」として、シュガーロードの歴史に思いを馳せるギフトパッケージです。

2024 April & May Issue 150|月刊サガシキ


伝えたいのは、地域の文化。歴史を紐解くパッケージ。

15世紀から17世紀前半、スペイン・ポルトガルを中心とするヨーロッパ諸国がこぞって遠洋に旅立った大航海時代。まだ見ぬ大陸、初めての航路は冒険そのものでした。この時代、世界の全容は掴めておらず、豊かな土地を求めて北から南、東から西へと移動し、インド航路開拓、南北アメリカ大陸発見に続いて、近代植民地体制が確立されたのもこの頃。新たな土地で出会った作物をめぐる貿易はもちろん、出会うことのなかった素材と技術が混じり合って生まれた品々に人々は驚愕します。その代表が「砂糖」です。砂糖伝播のはじまりとされるのはインド。東側へは中国経由、西側へは、ペルシャ(イラン)やエジプトを経由し、十字軍遠征時の帰路にコーヒーと共にヨーロッパにもたらされ、大陸を隔てたアメリカへは大航海時代のイタリア、すなわちコロンブスが持ち込み、まるで世界を旅するように伝わっていきます。

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シュガーロード(長崎街道)は、57里(228Km)ある脇往還で、25もの宿場で結ばれていました。

砂糖が東側ルートの中国経由で日本に伝わったのは奈良時代。当初は薬として、その後は“茶の湯”で供される菓子にも使われるようになりますが、極めて貴重な高級品でした。変化が訪れたのは戦国時代後期、貿易港であった長崎に来航したポルトガル船からの品々に含まれていた砂糖と南蛮菓子の製法が伝えられた時。江戸時代に入り鎖国政策がとられても、長崎の人工島“出島”を通じて砂糖と菓子文化は根付いていきます。こうして長崎街道沿いに広がった砂糖と菓子文化の道は「シュガーロード」と呼ばれ、ご紹介するパッケージデザインの起点となった無形の歴史遺産です。

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糊づけ不要で紙取り効率が良く用紙使用量も適正な、蓋身一体型のシンプルパッケージ。

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組み立て効率に配慮し、パッケージ背面の「腕」を組みやすくする三角形の切り込み。

2024 April & May Issue 150|月刊サガシキ


キービジュアルは、長崎らしさと南蛮文化という歴史的背景を想起させる「出島」のイラスト。

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裏面には「シュガーロード」の由来を記載。商品の味にも通じる歴史を伝える情報を添えて。

商品を開発されたのは、長崎県で豆腐の製造販売を手がける九一庵食品様。対象品は、ほんのり甘いごまどうふ。かつて贅沢品だった貴重な砂糖をふんだんに使うことができたシュガーロードの出発点、長崎ならではの逸品といえます。つまり、このごまどうふは贅沢な甘みで来客を迎えた特別な品、いわば「食でもてなすギフト」です。そこで、商品パッケージもギフト感がある箱型で保管が容易な“N式(TN式)”と呼ばれる蓋身一体型構造を採用し、包装全体は胡麻色の和紙に包まれた姿に、明るい乳白の天面に描いた「出島」で商品の出自を示します。さらに、同封されるしおりに「甘い」ごまどうふの由来、長崎ならではの味の理由「おもてなし文化」を記述することで、商品誕生の背景となった砂糖の伝播を伝えました。文化は、移動と出会いで発展します。このパッケージは、地域の歴史ともてなしの心を綴ったメッセンジャー。今、新たに迎えた旅立ちに胸を膨らませています。





2024 April & May Issue 150|月刊サガシキ

【sagasiki packaging Tips】
見た目優先
人の五感知覚の割合は視覚が最も高く、多くの場合「見た目」の印象で機能を予測します。たとえば、天面が平らな箱型パッケージであれば「積み重ね」利用が発生するのは必然。このため、用紙自体の強度はもちろん、構造設計の点でも配慮が欠かせません。特集のパッケージでも、蓋の差し込みの長さを箱の高さと揃えることで「蓋の落ち込み」を防止し、躯体強度を補助しています。

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【Activity Introduction】
パフォーマンス重視
いま、あらゆる開発現場で持続可能性が問われています。それはとっておきの品を贈るお土産・ギフトシーンにおいても同様で、かつて主流を占めた“蓋身式”と呼ばれる蓋と身箱の2ピース構造だけでなく、“N式(TN式)”と呼ばれる蓋身一体型パッケージも増えてきました。この構造は畳んで保管できる上、開封しやすく、用紙使用量も少ない合理性重視の設計。素材や保管にもパフォーマンスが重視される、現代らしい変化といえます。

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