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2021 3月 / Issue 119

磯じまん様

カジュアルギフトパッケージ


めざせ、未来のファンづくり。パッケージはブランド直営店。

この一年で起きた最も大きな暮らしの変化は、他者と飲食を共にする「会食」の機会が極限まで減少したこと。新型コロナウイルスの蔓延は、人々の心理と消費行動を一変させ「会えない・食事できない・飲みにも行けない」という、これまでは考えもしなかった生活様式を要求し、外出自粛で在宅期間が増加したことで「おうち時間を豊かにするもの」が好まれ、購入される商品にも大きな変化が生まれました。たとえば、着心地の良いリラックス感のある部屋着や、長く過ごす空間を整え充実させるための家電や家具。いずれも、他者や社会に対する「見栄え」型から、心地よさを重視した「充足」型に移行した消費行動を示しています。中でも、毎日欠かせない食事を充実させる食品やお菓子は、近年の傾向である「おすそわけ」感覚で贈る「カジュアルギフト」の潮流と相まって、注目されています。


カジュアルギフトは、日常の「ささやかな機会」を捉えたコミュニケーション。

フォーマルギフトのように形式や作法に囚われず「使って良かった(食べて美味しかった)・話題性がある・旬のもの」を贈り合うカジュアルギフトは、その特性から価格帯が抑えられることもあって「誰でも、年に何度でも」贈る機会があります。こうした市場傾向に注目されたのが、関西地区を中心に自社ブランド食品の開発・製造・販売を手がけ、さまざまな山海の恵みを「ご飯のおとも」として提供されている「磯じまん」様。社会状況とも、時代性ともマッチしたカジュアルギフトを充実させるため、ブランドの象徴となる「ギフトパッケージ」をお求めでした。


パッケージは蓋と本体を一体化した「額縁」付き。中身の保護と高品質なイメージを両立。


キービジュアルは「暖簾」。藍染のような色彩が、抑制の効いた「老舗らしさ」を演出。


商品パッケージを「お店」と考え、まるで「暖簾をくぐる」ようにオープンできる開封口。


正面と背面に配したイラストは「山海の特産品」を象徴した、もうひとつのキービジュアル。

価格帯を抑えたギフトの場合、パッケージづくりにおいても同様の考え方が必要です。ひとつひとつの構成要素を検証していく中で、まず検討したのは素材です。輸送のしやすさと緩衝効果を併せ持ち、リサイクルさえ可能な「ダンボール」は、気取らないカジュアルギフトには最適の素材といえます。次にプラスしたのは、たとえ実店舗に行かずとも「パッケージで店舗の役割を果たす」というアイデア。老舗らしさと店舗イメージそのものを象徴した「暖簾」をキービジュアルに、凛として控えめで日常生活に根付き、古くから親しまれる「藍色」をキーカラーに設定しました。さらに、山海の恵みを幅広く取り扱う商品ラインを示唆する「山」と「波」のイラストを加え、パッケージの前後に華を添えました。この戦略は「ブランドの象徴」となる要素を抽出し「イメージング=連想の手がかり」を散りばめる手法。精査した要素でブランドを際立たせ、カジュアルギフトならではの「リピート購入」を誘うのです。





【KEY COLORS column】
藍色:Indigo Blue

藍染に用いる植物「藍」に由来し、英名は「インディゴブルー」です。歌川広重や葛飾北斎をはじめ、多くの絵師が用いたことから「ジャパンブルー」とも呼ばれます。藍は木綿によく染まるため、着物や手拭い、暖簾等の布地で利用され、青専門の染物屋は「紺屋」と呼ばれました。凛としていながらも控えめで、日常生活に根付いた藍色は「時代を越えて好まれる色彩」といえます。

【いいパッケージは、何が違う?】
平らな紙を折り曲げ立体化する「紙器パッケージ」には、構造上多くの工夫が必要になります。たとえば、紙素材を「折った」だけでは反発で「浮き上がり」が生まれることも。特集では、蓋の浮き上がりを抑制するパーツ(ストッパー)を設け、安定度向上を図っています。機能を確実に発揮させるため、幾度もトライすることもしばしば。日々、美しい仕上がりを探っています。

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