2019 3月 / Issue 95
リトルマートコーポレーション 様
「クリンシアマスク」パッケージ
ポテンシャルは最高。品質を語る「プロ仕様」パッケージ。
商品の「特長」を明らかにすることは、販売戦略上極めて重要なタスクです。成熟市場では、類似した商品が複数存在することがほとんど。さらには、訴求ポイントまで似てしまい、商品ごとの差が不明確なまま、価格だけを頼りに購入時の選定を余儀なくされることも。こうした商品の場合「似たような商品だから」という理由で、商品やパッケージを「眺める」時間は極端に少なくなり、購入検討者はかなりの短時間で判断を下していることになります。つまり「瞬間的に」商品の良さを伝えるコミュニケーションが求められている…これが現実ではないでしょうか。相当数の商品群から「選ばれる」ためには、商品が「その分野らしい姿」を持っていること、誰もが直感的に理解できる明確な「特長」があること、これらを「短時間で」そして「確実に」伝えられていること、が成否を決めるといっても過言ではありません。
稀にみる高性能であることを伝えるには「期待感」そのものをパッケージングすること。
今回のストーリーは、こうした成熟市場におけるパッケージ開発。お客様は、宮崎で子供用品やヘルスケア用品の企画・輸入・販売・卸事業、ECサイト及び店舗運営事業を展開されている、リトルマートコーポレーション様。対象商品は、特許技術「抗ウィルス特許加工フィルター」を装備した「クリンシアマスク」です。このマスクの特長は、高い機能性。類まれな高性能を誇るマスクには、その価値(高い性能)を「しっかり伝える」パッケージが求められます。しかし、衛生用品である以上、安易に「目立つ」過度なデザインをおこなえば、信頼性の低下に繋がってしまいます。
清潔感、衛生用品らしさ、すっきりとした印象を高める、王道の「白い」パッケージ。
表面保護はもちろん、パウダリーな質感で高品質さを表現した「マットPP貼り」仕上げ。
マットPPとの対比で繊細な輝きを放つ「線描きで描かれたマスク」には、シルバーの箔押し。
とことん「プロ仕様」らしさを高めた、シンプルなキャラメル式の躯体構造。
そこで、販売先を「調剤薬局」に限定、衛生用品らしく「シンプルであること」を基本コンセプトとし、一般消費財でありながらも、多くの商品パッケージにみられるような「広告・宣伝」要素をできる限り抑えることを主軸として、パッケージ開発がスタートしました。キーワードは徹底した「潔さ」。即ち、商品の特長を明確に、かつ徹底的に研ぎ澄ました「プロ仕様」感満載のパッケージです。眩しい白さ、輝くマスクのシルエット、しっとりとした表面の質感、そして、ベーシックなキャラメル式構造。視覚はもちろん、触覚にも訴える「高品質=高級感」を感じさせるパッケージが完成しました。パッケージが雄弁である程「販売=宣伝」効果は高まります。けれどそれは、メッセージの「カジュアル化」を併発してしまい、信頼性を旨とする機能商品や高い品質を誇るハイエンド商品に相応しいとはいえません。有効なのは「語り過ぎない」パッケージ。視覚や触覚、感覚で伝える「寡黙なデザイン」こそ「雄弁なメッセンジャー」となるのです。
【KEY COLORS column】
銀:Silver(シルバー)
白金(しろがね)とも呼ばれる、金属系の光沢感が特長の灰色で、古代から、黄金と並んで畏敬や崇拝、憧れの象徴でした。ギリシャ・ローマ神話では「月の女神アルテミスの衣服の色」とされ、純粋・無垢・曇りのない良心の象徴とされています。銀色が持つ抑制の効いた上品な輝きは、パッケージに洗練された華やぎと落ち着きを与え、対象の高級で清潔なイメージを高めることができます。
【いいパッケージは、何が違う?】
パッケージの「厚み」は、商品特徴(中身の重さ・形・充填方法など)、あるいは、陳列・開封方法など、流通・販売条件によって設計されます。商品を確実に守り、品質過剰になることなく仕様を最適化することは「いいパッケージ」づくりの基本です。特集のパッケージでは、剛性(躯体強度)に加え、高品質であることが「触感」からも感じ取れるよう「感性評価」を大切にしています。
関連実績