2024 8月 / Issue 152
九州薬品工業様
有機青汁パッケージ
「人は見たい現実しか見ない」という言葉を残したのは、古代ローマの政治家ユリウス・カエサル。人間は先入観や事前のイメージを優先します。パッケージづくりでも「商品特徴に寄せる」ことで、納得感と共に購入を後押しします。
イメージ通りの納得感。健やかに「らしさ」を伝えるパッケージ。
サスティナブル、エシカル、そしてオーガニック。地球環境の変化はさまざまな対策と思想を生み、当初は聴き慣れなかったこれらの言葉も、環境や倫理、健康意識の高まりと共に社会に定着していきました。サスティナブルは、持続可能性。地球環境を壊さず、有限な資源を使い過ぎず、今も未来の世代も、平和で豊かな生活を続けていくことができる「持続可能な社会」の姿を示しています。エシカルとは倫理的・道徳的な正しさを示した志向のことで、環境保護はもちろん、社会問題にも注目し、良識的な行動を重視する考え方です。そして、最も早くから知られていたオーガニックは「有機物」を指し、化学的な肥料や農薬に頼らず「自然の力」で生産される農林水産物や加工方法を示しています。生態系や環境の維持はもちろん、社会的・倫理的にも「暮らしやすい地球」をめざす上で、それぞれの重要性は増すばかりです。
何が特別で何処が優れているのか?高い志と思想で誕生した商品こそ「伝え方」が大切。
こうした活動でポイントとなるのが「伝え方」です。たとえばオーガニックな農産加工品なら、実際の味わいや育成方法だけではなく“人の身体にも環境にも優しい”という特徴があります。これを商品に寄り添う「パッケージ」を使って伝えることができれば、商品自体が持つスペックに加えて「認知や購入を通じて環境保全活動への共感性を高める」という二次的効果も期待できます。まさにこのケーススタディといえる案件が、佐賀県鳥栖市で青汁・健康関連食品の製造・研究開発・OEMをおこなっている「九州薬品工業」様とのお仕事。ご依頼は「有機青汁」のパッケージ開発です。
ひとめでわかる“オーガニックらしさ”を表現したクラフト板紙と温もりのあるイラスト。
印刷には、再生可能な生物由来の有機系資源を原料とする「バイオマスインキ」を使用。
大ロットの製造に配慮した、業界では「オートケーサー」と呼ばれる自動製函機仕様。
開封しやすく、再封可能。ジッパーで改ざん防止の役割も持たせた開封構造。
この青汁は、農薬や化学肥料などの化学物質を使わず、自然の力で生産された「有機JASマーク入り」のオーガニック商品。商品パッケージづくりにおいても、違いが「ひとめでわかる」工夫が求められていました。通常、紙器パッケージづくりで使われる用紙は「板紙」と呼ばれ、漂白された白い紙(白板紙)にさまざまな商品情報を印刷します。実は、板紙には白色系ではないものも存在し、たとえば「チップボール」は、新聞などの古紙を原料とする灰色の板紙で、緩衝材用として広く使われています。今回使用したのは、漂白されていない「未晒しパルプ100%」を使用した板紙。あたたかみのあるブラウン系のクラフトカラーは「素材の良さ・有機らしさ・ナチュラル感」を演出できます。そして、素材の魅力を増幅させられるよう「栽培地の風景イラスト」をキービジュアル化。さらに、生物由来の素材を原料としている「バイオマスインキ」を使用したことで、文字通り“オーガニックらしさを満載”したパッケージが誕生しました。
【sagasiki packaging Tips】
ピュアの魅力
環境問題を考えると、数々の生活シーンで「資源を使う」消費行動の見直しや「持続可能性」を軸にしたモノ選びはますます欠かせなくなっています。たとえば、素材選びの現場で自然由来の「無垢材」を優先する選択はそのひとつ。住宅建材やベッドリネン、コーヒーのペーパーフィルター、特集でご紹介した「未晒しクラフト紙」に至るまで、“ピュア”である価値は高まっています。
【Activity Introduction】
白さが大切
店頭に並ぶ、ほとんどの商品パッケージに表示されるバーコード。日本では「JANコード」と呼ばれる世界共通の商品識別コードです。JANコードを読み取るバーコードスキャナは“バーの色と背景の色の明暗差”を感知して読み取るので、透明素材や光沢紙、また特集のようなクラフト紙を用いる場合、JANコードをブラックで印刷、背景には意図的に「ホワイト」を印刷することではっきりした明暗差を担保し、正確な読み取りを実現しています。
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