2020 11月 / Issue 115
サガシキ
ハコデガード
自然災害と生きる。いますぐ使える、ファスト・プロダクツ。
世界有数の災害大国、日本。相次ぐ大型台風やゲリラ豪雨等の気候変動、地勢条件から起こる地震や津波のリスク。いつ発生するかわからない広域感染症。日本の国土は常に「災害リスク」に晒されています。あらゆる災害から大切な家族やその生命を守るため「起こりうる災害への備え」が欠かせなくなっています。いまや、全国民が高まる災害リスクと向き合うことで「備え」を確かなものとしていく時代を迎えています。記念すべきオリンピックイヤーである2020年、国内初の「緊急事態宣言」の発令に至った「新型コロナウイルス」との戦いは始まりました。このウイルスは潜伏性が高く、自由貿易と「人の移動が常となった」社会を直撃し、瞬く間に世界に拡散したことで「パンデミック(世界的大流行)」として認知され、地球上のあらゆる人々が、突如出現した感染症と否応無しに向き合うことを余儀なくされました。
社会構造を一変させる大きな危機の中で、蓄積した技術を活かし「今できること」は何か。
新型コロナウイルス感染症は飛沫や接触で感染する可能性があり、これは治療にあたる医療機関においても同様です。しかも、未知の感染症といえど現場の医師たちは治療にあたらねばならず、感染源が特定されないまま、じわじわと感染が拡大する中で、医療物資の逼迫が危惧されていました。医療崩壊を防ぐため、医師や看護師を守る防護用具の開発は急務で、マスクだけではカバーできない飛沫を防ぎ、患者ごとに取り替えられる「フェイスガード」が是が非でも必要でした。今回ご紹介する「ハコデガード」は、喫緊の問題を解決すべく、サガシキで開発されました。
着用方法はマスクや眼鏡を装着したまま頭から被るだけ。しかも、フリーサイズ対応。
側面アーチが肩の曲面に添い、マスクだけでは覆えない首元までをしっかりとカバー。
フィット性が高く、首だけを前に倒した「前傾姿勢」や背中を曲げて「お辞儀」をすることも。
使用後は「畳んで捨てる」だけ。感染症対策の現場に最適な「使い捨て」を前提に開発。
一般的な医療用マスクや顔面を覆うフェイスシールドでは、顔の側面や後頭部・首もとの露出が課題でしたが「総合パッケージメーカー」ならではの「箱」製造の技術を活用し、頭部全体を覆う「箱型」構造とすることで、これを解決。さらに、湾曲させた透明フィルムで「広い視野」を確保し「消毒の手間を省いた」紙製ならではの「使い捨て」仕様。ケーキ箱のような組み立てやすさと廃棄のしやすさ、中身を見せるパッケージで使われる「窓貼り」構造からなる「ハコデガード」は、日夜「パッケージ」と向き合い続けたからこそ、製品化を実現できたプロダクトだといえます。そして、着用者の「安心につながる道具」を目指した「ハコデガード」は、国内の包装技術の雄を競う、社団法人日本包装技術協会が主催する「2020日本パッケージングコンテスト」において【日用品・雑貨包装部門賞】を受賞、名実ともに高い評価をいただくことができました。これからもサガシキは「パッケージの力」で、社会に貢献していきます。
【KEY COLORS column】
白無地:Plain White
パッケージづくりでは、印刷をおこなわず「無地」で仕上げることがあります。これは立体構造物ならではの方法ともいえ、構造検討段階で「モックアップ(実物大の試作品)」として用いられる手法で、そのまま製品化される場合も稀にあります。印刷のない白無地の紙を用いた状態から「ホワイトダミー」とも呼ばれ、機能に特化した製造物には最適の手法といえます。
【いいパッケージは、何が違う?】
特集の「ハコデガード」は、パッケージ開発で蓄積したノウハウの集合体。内部(頭部)の熱拡散を促す「ベンチレーション(通気)」機構を備えた、派生品となる「ハコデガード ライト」や、視界が広く、学校・店舗・スポーツ観戦等、幅広い用途で使用できる「ハコデフェイスシールド」等、パッケージ技術を応用した「ハコデシリーズ」として、続々開発中です。
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