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2026 10月 / Issue 165

高橋商店様

「秘蔵酒を楽しむ会」パッケージ


なぜこの素材なのか、どうしてこの方法なのか。造り手が発する「ものづくり」の言葉は、商品づくりの思想や哲学。それは、購入すべき理由そのもの。ここに共感した熱烈な支持者(ファン)が生まれたとき、ブランドはさらに強くなります。

2026 October & November Issue 165|月刊サガシキ


それは、冒険への招待状。ファンとつながるパッケージ。

店先に並ぶたくさんの商品、支払いや配送をはじめとする行き届いたサービス。現代の消費スタイルは多様化し、店頭でも、自宅でも、さらに移動中でも、わたしたちは商品を購入できます。とはいえ、無数にある商品の中から「自分の好みにぴったりあったもの」を探すのはひと苦労。だからこそ、お気に入りの商品やサービスに出会えたとき、その喜びは大きく「もっと広めたい、もっと応援したい」という気持ちが強く働きます。このファン心理に寄り添ったビジネスが顧客と直接つながることができる『D2C(Direct to Consumer)』と呼ばれる戦略。商品の提供範囲を絞り込み、対話ツール(SNSなど)を駆使することで、購入を表明した顧客に限定商品を提供したり、不特定多数への販売ではわからない「購入後の生の声」を得ることも。顧客との対話の場が設定されることで、距離が一気に縮まるのです。

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真摯な酒造りのようす。酒米や酵母、蔵人の技といったこだわりを知るのはファンの喜び。

D2Cは不特定多数を対象とする「マス」マーケティングとは異なり、特定の顧客層とのつながりを重視した「ファン」マーケティング。リピート購入やブランドへの共感を高めていくことに向いています。しかも、顧客との接点を活かして誕生背景や開発意図といった作り手の想いに共感してもらうことができれば、その顧客は商品の買い手から「ブランドの応援者」へと進化します。ご紹介するのは、まさしくこのケーススタディ。創業享保二年(1717年)三百年の歴史を誇る福岡県八女市の酒蔵、高橋商店様。ご依頼いただいたのは、主力ブランド「繁桝(しげます)」の「秘蔵酒を楽しむ会」の関連ツール。商品購入を通じた「ファンづくり」を具現化するパッケージングです。

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ラベル表記は、お酒の基礎情報(品名・原料米・精米歩合…)とクラシカルなマークのみ。

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頒布毎に同封されるリーフレットは、酒米やお酒の素性を示した蔵元からのメッセージ。

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頒布会専用化粧箱。ダンボール用「カラーライナー」を用いて、装飾を抑えながらも明るめに。

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最終頒布時には「酒蔵見学会」の案内状を同封、蔵元による「頒布会のふりかえり」を添えて。

この「秘蔵酒を楽しむ会」は、1998年(平成10年)から続く頒布会(期間や回数に沿って商品が送られる会員制の販売形式)で、導入当初は500口程度からスタートし、現在の会員数は頒布会対応の製造能力上限に到達するほどの人気を誇っています。頒布されるのは、毎年10月・12月・2月の3回。通常品とは視点を変えた「実験的なお酒」で、普段からお酒(繁桝)を販売している各地の「地酒専門店」が申し込みや購入の場となることで、地酒愛好家に向けたターゲティングはもちろん、専門知識を持つ地酒専門店から届いたお酒の説明が聞ける嬉しいしくみ。さらに最終頒布となる2月には、春季に開催される酒蔵見学会(蔵開き)の案内書が同封されます。ここに参加すれば、頒布されたお酒について「直接蔵元と語り合う」ことができるのです。あらゆる場面で「つながり」が重視されるいま、酒造りを担うのは、造り手、売り手、そして飲み手。頒布会に関わった全員が“お酒を育てる開発チーム”です。





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【sagasiki packaging Tips】
語り続ける理由
特定商品の愛好者に向けた「ファン」マーケティングは対象顧客との深いつながりを育みます。たとえば、商品の「開発ストーリー」や揺るぎない「造り手の哲学=フィロソフィ」を語り続けることで“このブランドが好き・この企業を応援したい”というファン心理は高まり、深く愛されるブランドへと成長していきます。普段は見えない「誕生背景」を伝えることは、本誌の使命です。

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【Activity Introduction】
プロトタイプ(試作品)
蔵元が一般流通しない挑戦(実験)品として特別な酒を造り、会員であるファンが評価し育てていく。特集で紹介した高橋商店様の取り組みは、造り手と飲み手が「共に」スリリングな味覚の冒険をするという、掛け合い。この役割を分けた共同作業こそ、現代の生活者が求めている「特別な体験」といえます。商品パッケージにおいても、プロトタイプ(試作品)のような“実験感”を強めることで「ここからはじまる」期待を高めています。

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