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2024 10月 / Issue 153

長崎元亀堂本舗様

「ショートカステラ」パッケージ


お土産は英語で「Souvenir(スーベニア)」と訳されますが、主に旅の思い出として「自分のため」に購入したものを表すそうです。対して、日本のお土産はその多くが「誰かのため」に贈るもの。訪れた土地で作られたものは“旅の証”となり、贈る相手に合わせて選ぶのも、楽しいひととき。帰郷後、土産話と共に贈答シーンを演出するのは、商品パッケージです。

2024 October & November Issue 153|月刊サガシキ


ひとつひとつが個性的。選んで楽しい、貰って嬉しいパッケージ。

眩しさに目を細めていた日差しも和らぎ、色づく山々に旅情を掻き立てられる季節がやってきました。いよいよ、秋の行楽シーズンの到来です。南北に長く地域性豊かな日本は、どの地域へ出かけても発見があり、記憶に留めたい出会いがあります。こうした旅の思い出を伝えるのに欠かせないのが、その土地ならではのお土産。日本にお土産文化が育ったのは、江戸時代の「お伊勢参り」がきっかけとされ、伊勢神宮への参拝は当時の庶民にとっては生涯の夢といえるもの。複数名が旅費を出し合い、代表者が参拝する「伊勢講」の仕組みが誕生したことによって、数多くの参拝者とお土産需要が生まれました。やがて近代を迎え、鉄道や自動車といった交通網の発達と共にお土産文化も発達していきます。現地ならではのライブ感、選ぶ楽しさと贈る喜び。お土産は、誰もが楽しむことができる“エンターテインメント”といえそうです。

2024 October & November Issue 153|月刊サガシキ


お土産はみんな同じじゃつまらない。多くの人に配るからこそ、少しずつで種類が多いと嬉しい。

お土産購入の醍醐味はこの「現地らしさ」と「選ぶ」行為にあります。まずは、訪れた場所を思い起こさせる品であること。そして、味の違いはもちろん、内容量にバリエーションがあると、好みや人数に合わせた選定がしやすくなります。つまり、普段の買い物よりも購入ハードルが下がる「ハレ」需要であるお土産でさえ、買うべき理由が欠かせなくなっているのです。求められているのは「選んで楽しく、買いやすい」こと。そんな嬉しい商品を開発されたのが、長崎市内でカステラの製造販売を手掛ける「長崎元亀堂本舗」様。対象品は長崎らしさ満点の定番土産「長崎カステラ」です。

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キービジュアルは亀甲模様。長寿で知られる「亀の甲羅」に由来し、繁栄や吉兆を意味します。

2024 October & November Issue 153|月刊サガシキ


味わいを想起させるキーカラー。複数のフレーバーがある商品では、商品識別機能上効果的です。

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箱の裏面も愛らしく。暖かな色合いとざらりとした質感で、食品らしさとスイーツ感を高めます。

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開口部はストッパー付き。蓋を閉めれば容易には開かず、お土産としての“持ち帰り”も安心。

今回対象となるのは、修学旅行の中高生。修学旅行、まして学生となれば(お土産に割く)予算は限られます。そこで、長崎元亀堂本舗様は「予算は抑えながらもフレーバーのバリエーションが多い」ショートカステラを考案。併せて開発した商品パッケージは、元亀堂本舗様の屋号「亀」にちなんだ日本の伝統文様「亀甲」を用いてキービジュアル化しています。さらに、6つのフレーバーそれぞれにキーカラーを設定、商品識別機能と陳列時のアイキャッチ効果を高めました。また、店舗のストックスペースに配慮し“折りたたんで保管できる”紙器を選定。箱の6面すべてに凹凸がなくフラットに仕上がる「キャラメル式」と呼ばれる構造を採用することで、組み立てやすいだけでなく「縦置き・横置き」等の置き方を選ぶことなく商品陳列できる仕様で仕上げ、見た目と構造が最適化されていきました。与えられた条件に合わせて、最良の姿を探る。多くの商品パッケージが「オーダメイド」される所以です。





2024 October & November Issue 153|月刊サガシキ

【sagasiki packaging Tips】
ユニバーサルアクセス
見ただけで使い方が想像しやすく直感的に理解できる機能や構造は、商品普及率に大きく影響します。パッケージでいえば、箱の上下に差し込み蓋のついた「キャラメル式」と呼ばれる紙器箱や、側面側から蓋となる部分を伸ばし箱中央でテープ留めする「A式」ダンボール箱がそれで、教わらずとも“組立・開封・分解”しやすい、誰にとってもユニバーサルアクセスな構造といえます。

2024 October & November Issue 153|月刊サガシキ

【Activity Introduction】
開発指針
実は、お土産に対する感覚は外国と日本で明確な違いがあります。お土産は英語で「souvenir(スーベニア)」と呼ばれ、自分用に購入することが多いのに対し、日本では旅行者が周囲に配るもの。その違いは、商品づくりとパッケージ開発における「開発指針」となります。具体的には、現地らしさを伝える連想性、フレーバーによるバリエーションや持ち帰りやすいサイズと価格。旅の様子を旅行者自身が伝える“土産話”付きの特別仕様品です。

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