2022 3月 / Issue 131
エフ・ジェイ様
「FUJIYAMA SEKKEN」パッケージ
「あ、このカタチ!」ひとめでわかる、パッケージ。
不安な世情が続くとき、変わらない姿で居続けてくれる存在は「心の拠り所」となって、わたしたちを支えてくれます。古くは山岳信仰の対象、また葛飾北斎の浮世絵「冨嶽三十六景」に代表される数多くの作品テーマとなり、画家や写真家の心を捉えて離さない霊峰「富士」の姿こそ、その代表といえるのではないでしょうか。この国の自然観や文化に影響を与え続ける富士山は「信仰の対象と芸術の源泉」としてユネスコの世界文化遺産に登録(2013年)されました。富士山の雄大で四季折々に変化する姿は、目にした者に感動と畏怖を抱かせます。富士山が愛される理由のひとつは、その「かたち」です。山頂を平らにした明快な「二等辺三角形」のフォルム、ここに降り積もった「冠雪」を加えれば、富士山そのもの。明快で誰もが覚えやすい形が、富士山を「象徴=シンボル」として機能させているといえます。
まさに、小さな富士山。FUJIYAMA SEKKENは、ローズマリー・ラベンダー・レモングラスの3種。
こうしたシンボルは、理解しやすい要素を絞り込んで伝えるため、対象物の説明(言語)に縛られることなく記憶に残ります。極めて短時間で情報伝達をおこなえる手法は、多言語利用が前提となる国際空港の案内サインをはじめ、メッセージを「瞬間的に伝える」際に効果的で、商品やサービスを展開する上でも有効に働きます。このシンボル化の手法に注目されたのが、山梨県富士五湖エリアで、企画商品開発をはじめ地域性を活かした複数の事業をおこなっている、エフ・ジェイ様。ご相談いただいたのは、富士山の形を模した「FUJIYAMA SEKKEN」のパッケージ開発です。
最大のポイントは、そのかたち。品名のとおり「富士山」を模したフォルムの個包装。
側面から見ると「膨らみを持たせた」形状設計。中身(商品)の石鹸をなぞり、ソフトにフィット。
特徴的な二等辺三角形を繰り返し配した「総柄」仕立て。各個包装の絵柄も「富士山」がモチーフ。
フレーバーごとに設定した識別用カラー。それぞれの色調は「石鹸そのもの」に合わせて。
風光明媚な地域での商品開発は「らしさ」が鍵。まして、対象が日本が誇る「富士山」であれば、極めて高い認知度を活かした訴求力も十分です。本件のパッケージ開発においては、いかに「富士山らしく」仕上げるかが、最大のポイント。最初に取り掛かったのは、個包装です。商品である「富士山型の石鹸」に添わせるように、緩やかな稜線カーブを「台形型」のパッケージ形状で再現。各フレーバーごとに設定した「紫・緑・赤」からなる識別用カラーと、総柄模様として取り込んだ「富士山柄」がプロモーションを盛り上げます。さらに、贈答シーンでの「ギフト」利用を想定し、3種の個包装を収納できる「贈答用」外箱の開発も。カラーバリエーションは、富士五湖のひとつ「河口湖」をイメージしたレイクブルーと「ソープバブル」をイメージしたクリームイエロー。完成したのは、カジュアルとフォーマル、双方のシーンに対応できる、対象の特徴を最大に活かした「富士山ならではの」特別なパッケージです。
【KEY COLORS column】
マットゴールド / Matte Gold
商品ごとに特徴があり、しかも複数のバリエーション品を同時販売する場合、個々の商品を「立たせる」工夫と「シリーズ感」の両立が欠かせません。このとき有効なのは「識別化」と「共通化」の要素を分ける手法。中でも「色彩」は、意図を「瞬間的に伝える」効果があります。特集のパッケージでは、フレーバーに合わせた識別色と、品質を伝える共通色で「無言のメッセージ」を伝えています。
【いいパッケージは、何が違う?】
観光地で買い求めたくなる「おみやげ」は、地域の特徴が活かされた「とっておき」です。気負うことなく購入できる反面、大切な方への「贈り物」としては、カジュアルすぎる場合も起こり得ます。そんな時に役立つのが、贈答用パッケージ。あらかじめ、プロモーション効果を高めた「買いたくなる」個包装と、上質で「贈りたくなる」外箱を用意しておけば、商品の「利用シーン」を拡大できます。
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