2020 August Issue 112


ビジネスにおける「ブランド」の役割は、商品やサービス、企業そのものを「他と区別する」ための行為といえます。対象となる商品やサービスが「他と何が違うのか、他よりもどんな点が優れているのか、自身にどういった喜びを与えてくれるのか…」といった「理由」を明確にすることで、生活者に商品の購入やサービスの利用を促します。ポイントは、他との明快な「違い=特徴」があること。誰がみても「一目でわかる」違いがあるほど「対象を注目させられる」可能性は高まります。たとえば、想定ターゲットを従来の購買層から変化させたい場合には、届けたいターゲットの嗜好性に合わせて、特徴となる要素を変化させる必要があります。世界を席巻する社会価値の変化「パラダイムシフト」が起きている今、対象となる商品やサービスの「価値」を伝える意義は、かつてないほど高まっているといえます。

具体的には、従来型の「手厚い」接客オペレーションが困難となり、Webによる購入頻度が増えれば「誰からも説明を受けないまま」商品を購入するケースが増えていきます。もし「商品に気づかない」あるいは「商品そのものを知らない」場合、購入検討の土台にさえ上がることはできず、あらゆる現場で「商品の存在」を示す工夫が求められているといえます。今回、ご依頼をいただいたのは、長崎県佐世保市の老舗酒造メーカー、梅ヶ枝酒造様。近年増加している蒸留酒「ジン」の需要に合わせて、原材料にこだわった若年層向けのお酒として発売を計画されていました。

梅ヶ枝酒造様のオーダーは「目を引く」存在であること。酒類のパッケージは、その多くが「内容量が一定」であることから、同類同型のパッケージ構造が採用されることが多く「注目させる」という点においては、工夫が必要です。そこで、斜めの折り線を追加し、パッケージ全体を「鉱物の結晶のような」多面体とすることで「誰が見ても」普通ではない印象になるよう成形。もちろん、製造効率に配慮し「機械貼り」対応させています。さらに、それぞれの面に施す色彩を変え、多面体のフォルムを浮き立たせています。パッケージの正面には、日本の伝統文様「麻の葉柄」をベースに多面体パッケージと連動させた幾何学模様をデザインし、ラベルとも連動したアイキャッチ効果の高い「キービジュアル」として設定。こうして、時代(令和)ともリンクした「令月(よきつき)」パッケージが完成しました。ターゲットを見据え、出会った瞬間に「視線を捉える」パッケージは、変化する環境因子にも負けない「特別な装い」となるのです。

     

 


梅ヶ枝酒造様のサイトはこちら。

umegae-shuzo.com


彩度(色彩の鮮やかさ)と明度(色彩の明るさ)をやや抑えた色彩グループです。色彩の鮮やかさや豊かさを残しながら、落ち着いた印象を与えることができるため「日本的なイメージ」を演出したい場合にも用いられます。特集のパッケージでは、芳醇な地場のフルーツを用いた「Japanese Premium Craft Gin」というコンセプトに合わせて「高級感」と「果実感」を演出しています。


「底ワンタッチ」は、箱を起こすと自動的に底部分が組み上がる便利な構造です。畳んで保管できる上、底を組み立てる必要がないので、店頭での作業負担を抑えることができます。しかも、底面に「糊貼り」を設けているため、重量のある中身(商品)に適しています。高い基本性能を持つ構造をリファインすることで「機能を維持したまま」デザイン性を高めることができます。