2020 February Issue 106


モノがあふれて「差別化がしにくくなった」といわれます。確かに、たくさんのモノが並ぶ状態が「あたりまえ」となると、膨大なモノが並ぶ様子は、生活者にとって「風景」と同じになってしまい、ひとつの商品に「視点を留める」という行為が発生しづらくなります。さらに、多くの場合、新商品はもとより「初回購入」のタイミングでは、対象品そのものの良さ自体、購入を検討している人には伝わっていません。この「ないないづくし」の中で、効果を発揮するのが「パッケージ」です。自らの購入体験を振り返ると想像できるように、初回購入時のきっかけは、まず価格、そして「パッケージ=見た目」です。実は、商品そのものの良し悪しが影響するのは、試してから購入できる場合か「リピート購入」の場合で「はじめての」購入判断では「そのときその場で検討できる材料」が、可否判断のすべてといえるのです。

すなわち、近年の販売現場では、商品やサービスに対する意識や関心を高め、消費行動を誘発させる「プロモーション」をどれだけ最適化できるかが、鍵となります。こうしたプロモーション施策を駆使した商品をリリースされたのが、大分屈指の銘酒「西の関」で知られる酒蔵、萱島酒造様。計画されていたのは「限定企画」プロモーションです。定番品やロングセラーの商品は、息の長い商品特性を活かし、多くの固定顧客を抱えることができます。反面、顧客の「リレー」とも呼べる世代交代や、新規顧客の取り込みにおいては、購入衝動を喚起させる施策が欠かせません。

大切なのは、購入を検討している人の「心理状態」に合わせること。そのための施策はふたつ。ひとつは「季節限定」プロモーション、季節特有のムードを反映した商品で、売り場での注目度を高める手法です。販売期間の限られた「その季節だけ」という限定感が購買へと誘います。そして、もうひとつは「地域限定」プロモーション。ある特定の地域に因んだ「特別パッケージ」での販売です。対象品は、アジア系外国人観光客の多い大分湯布院地域の限定品で、インバウンド需要を見越して「翡翠・金色・緋色」など、使用色彩を対外国観光客向けに調整しました。パッケージ形状は、底面の耐荷重性能が高く、重量物の保護に向いた「底ワンタッチ式」構造。飲料(液体)であることを踏まえ、輸送時の防振効果を高めるため、瓶上部には「ネックホールド」を設置しています。こうして、限定品の「切り口」を変え、地域や季節に合わせて最適化を促し、販売現場で購入衝動を喚起するパッケージが誕生しました。

 


萱島酒造様のサイトはこちら。

nishinoseki.com


外国人が日本に訪れる旅行は「インバウンド」と呼ばれ、さまざまな販売分野において、来日中の購買行動に注目と期待が集まっています。来訪者が文化圏の異なる人々であることから、商品に使用する「色彩」も、対象国の嗜好性に合わせることが増えてきました。特集でも、アジア圏で好まれる配色「翡翠・金色・緋色」を取り入れ、商品への注目と購入を促しています。


「底ワンタッチ式」構造は、起こすと自動的に組み上がる構造です。組み立てが簡易なので、畳んだまま保管して省スペース化をはかり、必要になったときに起こして使えます。大きな収納場所がいらず、煩雑なオペレーションも必要としないため、特集のような観光地での「店頭販売」には、最適の構造であるといえます。こうした一見「普通」で小さな工夫こそ、パッケージの醍醐味であるともいえ「定番構造」と呼ばれる所以です。

 

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