2019 September Issue 101


わたしたちは「生きる」ため、毎日お腹が空き、何かを食べる必要があります。今日を、明日を生きるために欠かせない「食」は「生きること」そのもの。つまり、需要規模は最大級。すべての生活者が「顧客」となる母数の大きさと、確実に発生する需要(一日数回の食事)があり、収入に合わせた予算組みが可能で、欲求満足度が高い(食欲は三大欲求のひとつ)商材は「食」の他にはありません。外食・中食産業(デパ地下グルメなど)はもとより、農業・畜産・漁業といった素材(食材)に近い生産者の手で、良い品を生み出し、良さを伝え「共感」とともに「購入」へと繋げる仕組み「六次産業化」の動きは高まるばかりです。安心・安全を求める生活者の「素材への関心」をきっかけとして、環境志向型の思考まで育むことのできる「食」は、消費社会における「最後にして究極の起爆剤」であるともいえます。

しかし、人手不足や高齢化等、国内農業の抱える問題は大きく、その対策として注目を集めているのが「農業経営の法人化」です。農業法人は、これからの農業政策の柱のひとつであり、後継者育成や新規就農者の雇用の受け皿として、また地域農業の活性化施策として期待されています。今回ご相談をいただいた大阪泉佐野市の泉州アグリ様も、NPO法人「おおさか若者就労支援機構」から生まれた株式会社です。ご依頼は、泉州地区の代表的農産物「水なす」のぬか漬けを発送するダンボール箱。夏野菜の「発送箱」としてもお考えで「普通でないこと」をご希望でした。

今回の課題は、中身の野菜を如何に守り、かつ「ギフト感」を高めるか。まずは、パッケージの「顔」となる天面をフラットに仕上げられる「底差し込み型」のN式(TN式)構造を採用。さらに、野菜を守りながら「積み重ね」を可能にする強化構造(蓋/前方額縁/両側面ハーフムーン・フラップ/後方クロスアーム)による相乗効果で上部荷重を支えました。グラッフィックデザインは、泉州アグリ様の事業コンセプトをヒントに「おいいしい野菜を作る=ナスの収穫」「よく育つ土をつくる=芽吹き」「新しい価値をつくる=ギフト対応デザイン」「つながりをつくる=円弧レイアウト」とし、メッセージに即したオリジナリティを高め「泉州ブランド構築」を目指したパッケージです。Web通販の爆発的な普及によって、事業者間の輸送用はもとより、個人用需要が増加し、今や暮らしに欠かせない素材となったダンボール。わたしたちの暮らしで高い普及率を誇るダンボール箱だからこそ、新しいアイデアを試す価値があるのです。

 


泉州アグリ様のサイトはこちら。

www.s-agri.jp 


多くのダンボールのライナー(表裏の紙)には「クラフトカラー」の用紙が使われます。ダンボールの特長でもある「輸送用」としての利用を考えれば、防汚性(汚れが目立ちにくい)の高いクラフトカラーは最適な色彩。機能性重視で設定された色彩であるともいえます。濃色の地色に対する対比効果を狙った「ホワイト」のインキも、ダンボールならではの印刷表現です。


ダンボールとは「波形に成形した中芯原紙の片面又は両面にライナーを貼ったもの」のこと。この中芯「波形部分」の構造を「トラス構造」と呼び、少ない部材で安定した強度を生み出す秘密でもあります。このトラス構造を基本に、中身の重さや用途に合わせて「厚み」と「紙質」そして、箱の「形状」を変化させることで、強く安定した構造体を生み出しているのです。

 

sagashiki Open Your Experience