2019 July Issue 099


インターネットとソーシャルメディアの普及によって、世界は大きく変わりました。今、求められているのは「より本質的でパーソナル」な生き方。特に2000年代以降は「ロハス(LOHAS=Lifestyles of Health and Sustainability)」に代表される「環境や健康に配慮した持続可能な社会生活」に注目が集まったこともあり、高級であることは「高品質であること」に置き換わり、いかに「コンフォート=快適」であるかが注目されるようになりました。高感度な生活者であるほど「ライフスタイル」を見つめ直すようになり、こうした「快適性」の追求は消費行動にも影響を及ぼしています。その傾向は社会トレンドに敏感な「都市部の生活者」ほど顕著に現れ、自身の思想や生き方と呼応するモノやサービスを探して積極的に「支持=購入」する、だから「本質的=心地良い」という、新たな考え方を育みました。

こうした社会ムードを反映させた商品を開発しておられたのが、大阪堺市で菓子類の製造販売を手がける前田製菓様。開発されたのは「糖質を抑えながらも美味しい」新しいタイプのビスケットです。メインターゲットは「感度の高い」女性たち。食物繊維たっぷりで、豆乳やきなこなど、素朴な自然素材をたっぷり使った、ターゲットである女性自身が「選ぶ=支持してもらう」がコンセプトです。こうした新商品開発の場合、設定された商品コンセプトをいかに「正しく」表現できるかが成功の鍵となります。狙うのは、ターゲットの琴線に響く「ナチュラル感」と「感度」の表現です。

高感度なターゲットに支持されるために大切なのは、必然性。誇張した表現や過度に購入を促す要素はマイナスに作用しかねません。最適化されたパッケージを導くコツは、商品特性の再現にあります。具体的にはブランドを体現した「商品名」がポイントです。商品の名前は「BiSLOW(ビスロー)」。Bis=ビスケット、Low=低糖質から生み出された名称です。しかも、ここに「SLOW=スローライフ」が隠れており、商品の背景にある「思想」を示唆しています。そこで、パッケージ形状は製造都合(商品充填)に対応した自動製函機(オートケーサー)仕様、グラフィックデザインは、社会トレンドに敏感な「都市部の生活者」をイメージした「すっきりナチュラル」な仕上がりに。パッケージのトレンドには、世相や生活者のライフスタイルが反映されます。何に関心があり(=志向特性)何に喜びを感じ(=嗜好特性)どんな社会的条件で(=環境特性)どのように暮らすのか(=行動特性)。すべてが、パッケージ開発の鍵なのです。

 


前田製菓様のサイトはこちら。

www.atarimaeda.com 


アヴォカドの「果肉」のように瑞々しい黄緑色です。新緑がそうであるように「若さ」を連想させる色で、グリーン系の特長でもある「自然」をイメージさせる色彩です。白や黒の無彩色やベージュ系と組み合わせれば「都会的な」印象を与えることができるので、特集のビスケットのように「ナチュラル&モダン」なムードを纏わせる際に効果的な配色であるといえます。


パッケージの基本構造は、商品の形や重さだけではなく、商品の「製造条件」によっても大きく変動します。特集のパッケージは、平面から立体に起こし、商品充填・糊付(封緘)までおこなう自動製函機(オートケーサー)に対応した専用構造。商品の充填(詰込)作業とパッケージの組立作業を、商品メーカー側でおこなえるよう配慮した「オーダーメイド」の設計なのです。

 

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