2019 January Issue 093


南北に長く、四季が明確な日本では、地域ごとに異なる特有の自然環境が「特産品」を生み出しています。裏を返せば、各地域で生み出された品々が「類まれな個性」を持っているということ。個性化が叫ばれる現代にあって、こうした潜在力、ポテンシャルの高さは注目に値します。たとえば、百貨店やアンテナショップの地域特産品コーナーに大きな関心が寄せられているのも、画一的な商品では飽き足らなくなった、生活者の「多様化した嗜好性」を表しています。数多くの特産品を生む「地域」に端を発したこの機運は、素材である農業畜産物や海洋生産物、そしてこれらを育んだ「生産地」への興味関心を高める要因となっています。そして多くの場合、生産地の素晴らしさを伝えることができるのは「商品に寄り添う」パッケージ。地域の、素材の、そして商品の魅力を、どれだけ的確に伝えることができるかが問われています。

こうした「地域」への高い志をもって、お仕事に取り組まれているのが、鹿児島県霧島市で農産物の生産・加工・販売をおこなっているナガミネ様。その考え方の根幹にあるのは「道地産物」を使うこと。道地産物とは、ある特定の地域で「良く育ち、味が良く、良い効果の得られる植物」を指し、育つ地域や土地と「相性が良い」植物を素材に調理する「薬膳」の考え方。鹿児島県は、旧薩摩藩時代から薬園(薬用植物を栽培する畑や関連施設)が盛んで、植物の生育にも適していたことから、霧島地域の「地モノ」の良さをより深く伝えていくため、新たな商品を計画されていました。

対象品は、自然溢れる霧島で育まれた「お茶」と「薬味」の数々。いずれも、シリーズの象徴となる「イメージ」を確定させる必要がありました。まず、お茶のシリーズは「新鮮な素材感」をキーワードに、使用した材料(植物)のビジュアルで「ひとめでわかる」シリーズ化を図りました。次に、薬味のシリーズは「道地産物」の考え方のベースともいえる「地域=環境」に注目。霧島地区全体を象徴する「霧島山」をキービジュアルに据え、素材ごとにキーカラーを設定することで、シリーズ感を高めていきました。さらに、どちらのシリーズも「白」を基調としたモノトーン配色でブランド感を醸成。そして、ギフト用には「重箱」をイメージした「黒」のパッケージで高級感と期待感を高めます。ブランド名は「薬膳小町」。素材と地域への想いと、親しみやすさから名付けられました。こうした仕様は、いずれもナガミネ様と協働で生み出したもの。お客様と同じ目線で商品をみつめたコラボレーションで、つくり手の「思想」を伝えるパッケージが誕生しました。

 


ナガミネ様のサイトはこちら。

kirishimagarlic.shop-pro.jp 


すべての色の中で最も明るく、黒や赤と同じく原初の色彩のひとつ「白」。清らかで輝かしく、純粋さを象徴する白は、神々や光を表す色とされました。たとえば、古代日本では「天皇だけが使える色」として、中世フランスでは「ブラン・ドゥ・ロワ=国王の白」として畏敬を集めていました。特集では、2色の「バイカラー」を支える基準色であり、商品ごとのキーカラーを引き立てる、デザイン上の「要」となる色彩です。


下から商品を支える「身」部分と、上から被せる「蓋」の2ピースで構成された箱を「蓋身式」と呼びます。最も基本的なパッケージ構造のひとつで、身と蓋の二重構造によって、躯体強度をキープします。特集では、土台となる「仕切り」部分に注目し、商品と外壁、あるいは商品と商品の間に「余白」となる空間を設けたことで、宝飾品さながらの高級感に加え、重箱のような「とっておき感」を演出しています。

 

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