2018 November Issue 091


商品開発・プロモーション計画立案時、商品の「購入理由」を把握することは、非常に重要な情報となります。生活者が商品やサービスを購入する動機はふたつ。ひとつは【自己満足型】で「良い気分」を味わうこと。もうひとつは【課題解決型】で「問題を解消」すること。特に、市場が成熟した現代社会においては、単に機能を満たした課題解決型の動機を満たすだけでは購入には至らず、自己満足型の動機を刺激する施策、すなわち「欲しい」と思ってもらうために、早い段階で購入候補の「検討対象」に入っていくことが大切で、優れた商品であることを「ひとめで伝える」ブランド力を高めることは「選ばれる」商品となるための、重要な要素となっています。このため、商品の魅力を最大限に活かす「パッケージ開発」に活路を見いだすケースは少なくありません。

今回お話をいただいたのは、鹿児島県霧島市で食酢(黒酢)の製造・販売を手がける宇都醸造様。近年の健康ブームで「黒酢」が注目される一方、その商品イメージから若年層の取り込みが難しく、新たな消費ニーズを掘り起こすため、ブランド力向上と拡販の施策を求められていました。黒酢は、熟成させる年数や加える果汁によって味わいが大きく変化します。わたしたちはこの特性に着目し、調味料として、また飲料としても楽しめる「フレキシブルな商品」であることを切り口に、パッケージ開発を進めていきました。

メインターゲットは「働き盛りで家族や自身の健康と美味しさに感心がある」女性。これまでの黒酢ユーザー層を前倒した「若年層の取り込み」を想定しました。ポイントは購入時の「嬉しさとワクワク感」を高めること。使用シーンで「自宅で楽しむ」ことを前提に、眺めるたびに「嬉しさ」があること。何より、消費意欲の高い「働き盛りの女性」を意識すること。具体的には、シリーズごとに「今」を感じさせるキービジュアルを設定、熟成年数やテイストの違いをブランド全体で整え、これまでにない「新しさ」を表現しました。やがて迎えた2018年1月。新ブランド「ふくず/くだもの黒酢/琥珀の恵」はリリースを開始。今も好調な販売が続いています。参入障壁の低いインターネット通販の普及によって、たとえ小さな規模でも、メーカーが直接販売をおこなうことが可能となりました。成熟市場の今、企業規模に関わらず、ブランド力を伴った商品企画・開発力は欠かせません。商品に寄り添う、パッケージの力は、ますます問われているのです。


宇都醸造様のサイトはこちら。

www.utojouzou.jp 


透明感のある濃い橙色を表す色で、水飴に由来する深みのある強い橙色。木製のアンティーク家具や、革製品の深みを表現する際に使われ「飴色になるまで」と表現されるように「時間の積み重ねを表す色」であるともいえます。今回は「黒酢」の色がこれにあたり、格調高い「黒」で包むことで黒酢の「年輪」を、また白と華やかな色彩の組み合わせで「軽やかさ」を、それぞれ表し、商品シリーズの特性に合わせて寄り添う色を使い分けています。


「底ワンタッチ式」構造は、箱を起こすと自動的に底面が塞がり、底面中央部でロックが掛かります。構造上、底面の耐荷重性能が高く、飲料や化粧品等、重量物の保護に向いた構造です。成形が容易で組立作業性が良いことから、大量生産品にも向いています。今回の商品は飲料なので、輸送時に瓶の防振効果を高めるため、瓶上部に「ネックホールド」を設けています。しっかり守って、きちんと運ぶ、良質なパッケージの見本のような構造です。

 

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