2018 August Issue 088


あらゆるメーカーが喉から手が出る程欲しい「ロングセラー」商品。ロングセラー商品は、ブランド構築における理想形です。商品、あるいは商品ブランドをロングセラー化することができれば、一定の売上が約束されるだけではなく、売上予測も、中長期計画も立てやすくなります。反面、ロングセラー商品ならではの難しさもあります。たとえば、ブランドの成長とともに顧客の年齢が上昇し続けていけば、やがて売上減へと転じることになります。これを防止するには、新たな顧客となる「ファン」の数を増やすこと、そして「若年層」へと広がりを持たせる必要があります。

今回ご相談いただいたのは、大分の菓子メーカー「ざびえる本舗」さま。折しも、南蛮菓子「ざびえる」と「瑠異沙」のアニバーサリー商品を企画中、従来のファン層とは別の新たな顧客、特に「若年層ファン」の獲得を視野に、記念となるパッケージ開発のため、サガシキにお声がけをいただくことができました。老舗の看板商品、また登場から幾年も経た商品は、パッケージもクラシカルなことが多く、これに愛着を持ったファンの方も大勢います。もし、安易にデザインを変えてしまえば、昔からのファンの期待や安心感を失ってしまいかねず、相応の戦略が必要となります。こうした嗜好性がはっきりと異なるターゲットを「同時に」狙う場合、単一デザインによる解決に固執すれば、いずれかの嗜好に偏るか、どちらにとってもベストとはいえない仕上がりになりがちです。

そこで、今回のパッケージでは「アニバーサリー」であることを最大に活用し、商品ブランドを象徴する個包装デザインを維持しながら、店頭での「見栄え」を考慮した仕様、即ち、スペシャルな外装パッケージを用意し、アニバーサリー感と新たなファンの獲得を実現していく「ハイブリッド戦略」が選ばれました。こうして仕上がったアニバーサリーパッケージは、地場百貨店・駅ナカ等で販売。従来商品とは全く異なる姿を得たことで、若年層からの評価も上々、従来のファンからも好評で、次世代のファンへとバトンを繋ぐ役割をしっかりと果たしています。

ロングセラー商品は「変わらない」から売れるのではなく、生活者のライフスタイルに合わせて「変化し続ける」からこそ、支持されます。変えてはいけない部分と、変えるべきところ。オリジナルへのリスペクトはもちろん、変化を恐れず、愛され続けるための努力を惜しまない姿勢に、揺るぎない「ブランド」は宿っていきます。


ざびえる本舗様のサイトはこちら。

www.zabieru.com 


明るく澄んだ秋の空のような薄い青色のこと。色名の「み・御」は神や自然、神聖なものをあらわす接頭語で、空に対する敬意をこめた優美な色です。主に尊称として使われており、他にも「御山(みやま)」や「御雪(みゆき)」などがあります。特集したパッケージでは、薄い黄色と淡い御空色を組み合わせることで、ふんわりと霞みがかる様子、商品が誕生した「春」のイメージを演出しています。


ベーシックな箱でも機能性と審美性を高める工夫は可能です。たとえば、今回の特集で登場した「スリーブ」と「キャラメル式」の組み合わせ。それぞれの側面が重なることで「二重の壁」を形成し、躯体全体の強度を増すことでパッケージに「重厚感」が加わり、スリーブ側に「窓」を空けることができます。しかも、それぞれのパッケージ構造は非常にシンプルで「組み立てやすさ」も両立できるのです。

 

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