2018 July Issue 087


ほとんどの市場で商品やサービスが顕在ニーズを満たし、人口減少が加速する中で、売り場には「必ずしも必要でない商品」が多数を占め、多くの場合「価格の高低」が購入の判断指標となっています。しかし、低価格戦略には企業体力が欠かせず、業界最上位クラスの規模がなければ、低価格を維持することはままなりません。しかも、個々の「嗜好性が細分化」した現代の生活者に対しては「広くあまねく」存在を知らせる、という行為自体が困難になりつつあります。

こうした状況において、今もって世帯普及率が高く「不特定多数の生活者に向けて、情報を一斉に配信」できる「テレビ」は無視できない存在。コンテンツ次第では、同じ情報を同じタイミングで、さまざまな人に一斉に提供することができます。

今回、ご相談いただいたのは、鹿児島で焼酎の製造販売をおこなう国分酒造様。国分酒造様によれば、薩摩藩士「西郷隆盛」を主人公にしたテレビドラマが放映予定で、タイミングを合わせた商品(本格焼酎「金盃さつま隼人」)を検討されていました。話題の高まりによって、自らの足で「鹿児島を訪れる」方々、あるいはWeb検索で「鹿児島を知りたい」と思う方々、の双方が対象です。つまり、誰にとっても「メモリアル」なパッケージであること、が求められます。

中身は陶器製の徳利。重量物保護と美粧性(仕上がりの美しさ)を兼ね備えることが必要です。そこで、緩衝効果を狙った薄手のダンボール(EF)とニスコーティングした紙を貼り合わせた「EF貼合」仕上げとし、重量のある品物に適した「底ワンタッチ」式構造を採用。さらに、パッケージ外装に西郷隆盛の言葉やプロフィールを記述、数々の表面加工を施しました。専用デザインの輸送用ダンボールも準備して、メモリアル感満載の「雄弁な」パッケージングを目指しました。

こうして開発された「金盃さつま隼人」は、前述のテレビドラマに先立って発売。人気商品として、既にリピート製造のご注文をいただいています。成熟市場においては、商品(パッケージ)のクオリティはもちろん、ご提供する「タイミング」が極めて重要で、トレンドや話題性の高まりを購入の「きっかけ」として活用できるかどうかが、成否を分けるのです。


国分酒造様のサイトはこちら。

www.kokubu-imo.com 


もともと、橡(つるばみ)で染めていたベージュに近い色です。橡とは「どんぐり」の古名で、スモーキーで落ち着きのある色は、古代史の研究に欠かせない史料群「正倉院古文書」にも、その名が登場します。特集したパッケージでは、商品(徳利)の色がこれにあたります。パッケージの窓貼り、漆黒の印刷、疑似エンボス、箔押、西郷柄は、すべて主役である「白橡色の商品」を引き立たせるための要素なのです。


中身をより良く「魅せる」ことは、パッケージの大切な役割のひとつ。特集のパッケージは、重量物保護のため「EF貼合」仕上げですが、商品(徳利)を確実に守るため、緩衝材兼固定材として「仕切り」を設けており、貼合した紙の「白」とグロッシーなニスを組み合わせて、商品を明るく見せる「リフレクター」効果をプラスしています。限られた要素を「魅せる」手段として活かし尽くす、パッケージング・テクニックです。

 

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