「一番搾り 新潟・栃木に乾杯」パッケージ

2017年11月号 THE PACKAGING STORY #79

天面は取っ手があるのに、フラット仕上げ。
だから、積み上げ陳列も大丈夫。 アイディアを搾り、創意工夫も一番!と賞された、乾杯パッケージです。

2016年秋。キリンビール様から私たちサガシキへご依頼をいただいたのは、「47都道府県の一番搾り」に続き、2017年より発売される「一番搾り ○○に乾杯」シリーズの中で「新潟に乾杯」と「栃木に乾杯」用の特別仕様のパッケージ開発でした。それは大瓶6本入りタイプのパッケージ。店頭でパッケージ同士を積み上げて陳列することを前提としたうえでの天面(上の面)に「取っ手」を付けて持ち運びしやすくする設計でした。単純に取っ手を付けると、天面に凸形が生じ、平らな面の上に箱を積み上げるような安定感は期待できません。しかも、その解決方法も一般的な大瓶ビール6本分、約7.5kgという重量に耐えうる強度を伴った取っ手+積み上げ安定構造でなければなりません。この最難度レベルの課題をクリアするため、私たちは幾度もミーティングを行い、幾度も試作しては、チェック、改良を繰り返し…ようやく答えが見えてきたのです。

課題1. 大瓶6本という重量商品を片手で持ち運べる「取っ手」の開発。しかも、取っ手面は安定感のある積み上げ陳列ができる「フラット仕上げ」に。

見出した答えは、まず、取っ手をパンタグラフ形状に設計。鉄道車両の屋根に取り付けられている、あの菱形の集電装置のように水平に折り畳める構造です。取っ手を水平に折り畳める仕様としたうえで、次に天面を重ねて厚みをつけ、折り畳んだ取っ手をぴったり収納できる凹部スペースを設けることに。この2重のアイディアで取っ手+積み上げ安定構造を実現できたのです。(写真①②③)。さらに、取っ手にもう1枚折りを重ね、握り手への食い込みを軽減する工夫も追加しました(写真④)。

課題2. 持っても、積み上げても、大瓶ビール6本の重量をしっかり支える強度・耐久性。

重い大瓶ビールセットですから、ダンボール厚の選択にも、底の構造にも、強度と耐久性を十分に配慮しなければなりません。検討を重ね、ダンボールは厚み約3mmが適切と決定(写真⑤)。底にはワンタッチ構造にロック機能を加えて底抜け防止を強化(写真⑥)。さらに取っ手などの重要パーツ部からパッケージ全体まで強度・耐久性テストを重ね、安全性や信頼性の確保を図りました。

課題3. 店頭で購入意欲をそそるパッケージデザイン。

パッケージの表面は、写真を美しく再現するために印刷シートとダンボールを貼り合わせた美粧仕様としました。そして、印刷シート面には、多くの他社商品が並ぶ店頭でも目に留まるよう商品ラベルを大きくクローズアップした写真をデザイン。あえて商品ラベルを傾けた構図にすることで「今まさに、グラスに注ぐ瞬間」を表現し、「飲みたい感」を誘引、購入の動機付けを図っています(写真⑦)。

こうして、ひとつひとつの課題をクリアし、ブラッシュアップを行い、パッケージがついに完成。2017年4月、「一番搾り 新潟に乾杯」が、続いて6月に「一番搾り 栃木に乾杯」が颯爽とデビューしました。

そして、2017年夏。国内の包装技術の雄を競う、「2017日本パッケージングコンテスト」において、この2つのパッケージに込められた創意工夫が評価され、包装技術賞部門「包装アイデア賞」に輝いたのです。アイディアを搾り出し、幾度も試行錯誤を経ての受賞に、スタッフの喜びも最高潮。もちろん、祝杯は「一番搾り」。それは私たちスタッフにとって、忘れられない一番美味い乾杯となりました。