「ゆずごしょう」パッケージ

2017年3月号 THE PACKAGING STORY #71

ビンのパッケージは地元ご購入者に、箱のデザインはお土産ご購入者に。
これが販路によりデザインを使い分けした、常識に挑んだパッケージです。

「地元のご購入者を疎かにはできません。地元消費という土台にあっての販売戦略でないと計画が立ちませんから。しかし、一方でお土産としても売り上げを伸ばしたい。都市圏からの期待値も高く、伸びしろも大きい。となるとパッケージも地元販促デザインとお土産販促デザインとにつくり分けるのか、どちらにウェイトを置くか悩んでしまうのです。予算が潤沢にあれば、販路ごとにパッケージをつくり分けられるのですが、なかなかねぇ(苦笑)。」

最近、このようなお悩みを私たちサガシキに寄せられるお客様が増えています。マーケティングやブランディング的にはパッケージのデザインは統一・連動させるのが常識と言われますが…。
今回のパッケージング・ストーリーは、異なる販路に対する既成の常識に果敢に挑んだお話です。

地元農家が朝採りの農産物や農産加工品を持ち込み販売する場として、長崎県の長崎市と諫早市に「轟街道ふれあい市」がオープンしたのは2003年秋のこと。
名水百選の里「高来町」のふるさと産品も多数販売されています。そこで高来町産の加工食品の製造と販売を担っているのが、今回のストーリーの主役でもある農業生産法人有限会社「たかき」様です。

以前に私たちがお持ちした「月刊サガシキ」をお読みになり、詳しい話をお聞きしたいというご連絡をいただいたのは、2016年10月のこと。
長崎空港で一番のリピート商品「農家のおばちゃんの手づくり柚子ごしょう」をセット販売できる専用パッケージをつくって欲しいというご依頼でした。長崎空港で購入された方の多くは県外の方らしく、土産需要が増加傾向に。そこで、複数のビン詰め商品をまとめたパッケージ(箱)が必要になられたのです。

クリエイティブチームは、さっそくデザインの方向性を①高級感&シンプル ②「地方らしさ」のあるデザインに設定。2案のサンプルパッケージを開発し、たかき様へプレゼンテーションを行いました。

提案デザイン(天板部:実際には箱全体で提案しています。)

「これは、どちらの案も捨てがたいです。どうでしょう、双方のデザインを使い分けてみては。地元の皆さんが購入される『轟街道ふれあい市』では、高価な品を割安に購入できることを感じさせた方が販促効果が高いと思います。そこで、デザインAを『ビン』に採用し、空港で長崎土産を求めているお客様にはローカル感や手づくり感のあるデザインBを『箱』に採用。…いわば、二刀流作戦です。」

商品のビンと箱のデザインは統一するのが通常ですが、販売先の購入層に合わせて意図的に2種のデザインとに使い分けを行うことで、双方の販売先でファンを獲得できる可能性も。「テスト的な意図もあります。『月刊サガシキ』によると、サガシキさんにはデジタル印刷という武器があるとか…。」

確かに、パッケージ使い分け策には少ロット製造に対応できる私たちのデジタル印刷が効果的です。大切なのは、予測だけではない検証と結果の反映。私たちは、たかき様のパッケージ戦略をデジタル印刷で、サポートすることに。

こうして、2017年1月、二刀流パッケージでの発売が開始。ギフトパッケージの販売も滑り出しは好調とのお知らせに私たちも胸をなで下ろしました。

私たちは今回のデザイン使い分け策のようにあらゆる可能性を視野に入れ、これからも求められている販売・パッケージ戦略をデザイン力と印刷製造技術とで確かに、頼もしくサポートしていきます。